五輪建設物での国産材無償募集は、林業を軽視している!

こんにちは。

植物から学ぶことは多いですが、利用者の人間も色々なことを考えないといけないなあと思うこのごろです。

先日、こういった記事を見ました。

東京五輪 選手村の交流施設を作る木材を全国から無償で募集

東京・中央区の晴海に建設される選手村には、大会の期間中、選手が家族などと交流できる施設として「ビレッジプラザ」と呼ばれる仮設の施設が建設されます。

大会の組織委員会は、この施設の屋根や壁などに使う木材を全国の自治体から無償で提供してもらい、大会後は各自治体で東京オリンピックのレガシー=遺産として活用してもらう取り組みを始めることになりました。

木材は、製材であれば種類は問わず、自治体名を明記できるということで、組織委員会は全国の木材を使うことで多様性と調和を表現したいとしています。

組織委員会は「木材を全国から募ることで大会機運の醸成につなげ、コスト削減と大会の記憶が残る取り組みにしていきたい」と話しています。

(7月25日 NHKニュースより抜粋)

この内容について、インターネット上で批判が出ているようです。

2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が選手村の交流施設「ビレッジプラザ」で使用する屋根や柱などの木材を全国の地方自治体から公募する方針を示したことが、インターネット上で批判されている。「五輪は搾取のための錦の御旗(みはた)ではない」などと無償で提供を受けることが否定的にとらえられたが、組織委は「全国各地の自治体から『無償でも』と申し出があった。双方に利益があるのだが」と思わぬ反応に困惑している。

(7月25日 毎日新聞より抜粋)

林業の実態を知らない

「木材を無償で」というところが引っ掛かりますね。悪いことではないかもしれませんけど、日本の林業の実態を把握している人なら、少なくともこういった提案はしないのではないかなあと感じています。

林業従事者(全国で4.8万人:H27年総務省調査)は、必ずしも賃金が高いわけではなく、危険な作業もあり、天候にも左右されます。雨天、荒天の日の待機分は、給料として支払われないと、知り合いの森林組合で仕事を請け負っている方から聞きました。従って、安定感のある仕事ではないと感じられます。

また、需要についても、国内の自給率は33.2%(H27年)で、木材の多くは輸入材に頼っています。国産材はコストがかかるため、どうしても販売が伸びません。

製材されたものをその地方自治体から提供するまでに、伐採、搬出、加工する過程など、それぞれの時点で人の手がかかっていくので、人件費が発生します。それは、誰が負担するのか?

そういう状況の中から、この分は五輪で使うからボランティアでお願いね。と言われて、進んで作業をする人がはたしているのか?疑問に思います。

少なくとも、自治体はそういう方たちの賃金を補償してほしいですね。

それとは逆に、国や東京都が無償ではなく、良いものを揃えたい!支払金も保証します!という具合で呼び掛けた方が、林業従事者の気運も上がるかもしれないし、皆が競って東京に持ち込むのではないでしょうか。

人間競ったほうが良いものができることは、歴史からも学べることです。こういう提案ができるといいなあと思います。

人間は自然界の恩恵に預かる立場

また、天然資源は、その土地の財産ではありますが、所有物ではありません。双方に利益といってますが、実に人間本位の考え方でいやらしく感じます。自然界の恩恵を受けてこそ、人間は生きていけるので、自然に対する考え方は、もっと謙虚であるべきです。

こういった内容を知ってもらうにしても、林業に目を向ける人が少ないと厳しいですね。最近、林業女子もちらほら増えてきています。彼女たちは、情報の広げ方が上手いですから、SNSを積極的にもっと活用されて、日本の林業の現状打破に一役買ってもらいたいと思います。

ここで明治神宮を参考に取り上げたいと思います。

明治神宮の森は、壮大な人工林ですが、

植樹する木は国民から募集をしました。すると明治神宮へ献上したいと多くの人々が手をあげました。日本全国から集まった木々の数は10万本に達しました。また植樹作業には全国から青年団が集結しました。その数は、のべ11万人にもなりました。

(NHKスペシャルより引用)

明治神宮の場合は、明治天皇の御聖徳に多くの国民が、奉仕の心を抱いたのだと思います。

無償で提供する行為は、それ自体は美しいと感じられますが、提供する側の思いが心からのものであることが、前提条件だと思います。

東京五輪にそれだけの求心力があるのか?また元総理や都知事に人徳はあるのか?さまざまな意見があるとは思いますけどね。

林業の実態は、農林水産省や林野庁がHPで発表しているので、興味のある方はご覧になって下さい。一人でも多くの方が林業のことを知ってもらえるとありがたいことです。東京五輪の実行側に携わっている方は、お祭り騒ぎの一発屋で終わらせるのではなく、明治神宮の100年、150年先を見据えて林苑を計画された本多静六氏たちのように、大きな視点で取り組んでもらえたらいいなあと思います。

多少怒り交じりのブログを最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!!

農林水産省:農林水産基本データ集

林野庁:林業労働力の動向

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